僕のレクイエム

しばらくは運動してダイエットに励みます。釣りは引退しました!
心霊大好き。

ついに

その日はついにやってきた
大学生となり大学生活をエンジョイしていた
もう心霊のこと等まったく忘れ
ただひたすらに女の尻をおっかけていた
 
12月23日
大学のクラスメイトである男4人で妙高高原へ向かう事になった
友人Hが車を持っていたので
Hの運転で東京を午後11時に出発した
 
今では妙高高原までは高速1本で行ける
その当時長野道も途中までしか完成しておらず
更科ICで高速を降りると
後はひたすら一般道で目的地妙高高原まで車を走らせた
 
ここから先の話は十数年前
まだまだインターネットが普及していない頃
某心霊掲示板へ投稿した事がある
少し記憶が薄れてきているので
その投稿と差異が生じるかもしれないがご容赦いただきたい
 
更科ICを降りたら猛吹雪であった
夜中にも関わらず連日の大雪で積もった雪で周囲は明るかった
 
猛吹雪の中車を走らせた
向かう方向の前後に車はなし
対向車はダンプが多くすれ違った
 
少し登りになり対向車線の右側が崖になっていた
かなり遠くの歩道(対向車線側)に人が歩いているのが見えた
猛吹雪なのに傘は差していない
通り過ぎるダンプが巻き込み巻き上げる雪で
その人の周りは一層猛吹雪になっていた
 
「あっ、女が歩いている」
かなり近づいてHが言った
かなりの雪で車の進みは遅かった
助手席に座る僕には数十秒前から女性が見えていた
「なんか変だな」
後部座席のMが乗り出して言った
僕はずっと変だと思っていたが「まさか、これが霊か!」
という感動で言葉を失っていた
 
「あの女の人、服が破れている」
「助けなきゃ!」
「どこかで襲われたのでは!」
とHとMが会話していた
 
その女性の恰好はビリビリに破かれたブラウス1枚で
この猛吹雪の中をゆっくりと歩道を下ってきていた
時折追い抜くダンプは女性が気にならないのか減速すらしない
 
対向車線を挟んで運転席のピラー越しに女性が見えた時
「助けなきゃ」とHが車を停めようとブレーキを踏んだ
 
その瞬間後部座席で黙っていたFが
「止めるなー、すぐ車を出せー」と大きな声を出して皆驚いた
 
Hは「でも助けなきゃ」と言いつつFの勢いに押されて車を進めた
そのまま後ろは見ることなく車は登っていった
 
少し走って車を停めて4人で確認をした
Fは寝ていたが ただならぬ気配を感じて目が覚めたと言う
Fは「実は霊感があって」と言いだす
HもMも僕も霊感はなかった
F曰く、今回のように一緒にいた人が霊を見た事があったという
Fの説明を聞いても信じられないHやMは車を停めなかった事を少し悔いていた
「おまえはどう思う」Mに振られ僕は
「Hが女性に気づく前に遠くの女性に気づいていた、でも何か違和感があって
 黙って観察していた」
「どんな違和感かと」Hが聞く
「歩いているのにスーと滑っているようだった」
「それだけか?」Hが聞いた
「あの人、あれだけの吹雪の中髪も服も濡れていなかったし
風ではためいていた。それにブラウスしか着ていないのに
ブラウスが濡れて透けてなかったよ」
「それは俺も感じた」HとMが口を揃えて言う
「窮め付けは、車を停めようとした時、あの人の体少し透けていた」
僕の発言で皆が頷いた
みんな透けていたの見ていたんだ
 
Fの力のおかげであるが人生初の霊を見た
その霊になった人がどこでどうなって霊になったかを考えると心苦しいが
ついに霊を見た
それは20歳になる日の朝飯まで300日程残した日の事であった