二軒隣
父が国家公務員だった事もあり
当時は団地型の官舎に住んでいた
二軒隣のご主人が病気で亡くなった
その家にはお子さんがいなかったので
二軒隣とはいえよく知らなかった
49日も過ぎた頃
朝御飯を食べていると二軒隣のおばさんが
我が家に転がりこんできた
声にならない声でギャーギャー言っている
母が落ち着くようになだめていた
少し落ち着いて、こう話したようだ
と、いうのは既に学校に行っており
夜に母から聞いた話だ
おばさんは数日間同じ夢にうなされていた
その夢には亡くなったご主人が現れ
朝早くから食事の支度、洗濯をするという
生前、炊事洗濯は全てご主人がされていたそうだ
亡くなった後も、何も出来ない妻が心配で
夢に出てきているのではないかとの推測であった
そして今朝、台所でガタガタと洗濯場でガサゴソと音がして目覚めたそうだ
台所を覗くと、そこには亡くなったご主人が下を向いて立っていたそうだ
それで悲鳴をあげて我が家に転がりこんできたのだった
にわかには信じられない話だが
母は何度か亡くなった後のご主人を見ていたらしい
そのおばさんは、翌週には引っ越してしまった
僕がその官舎に住んでいるいる間、その家はずっと空家だった
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